新緑の円成寺

奈良県
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奈良市街東方の柳生街道沿いに位置する古寺で、仏師・運慶のもっとも初期の作品である国宝・大日如来像を所蔵する。

真言宗御室派の仏教寺院。
山号は忍辱山(にんにくせん)、本尊は阿弥陀如来。

伽藍の前面に広がる苑池を中心とした庭園はその形式から平安末期、12世紀頃の作と推定される。
この時期新緑が見事。

円成寺について、『和州忍辱山円成寺縁起』(以下『円成寺縁起』と略称)は、奈良時代の創建を伝え、別の縁起には延喜年間(901 – 923年)の創建を伝えるが、いずれも伝承の域を出ない。

『円成寺縁起』によれば、この寺は、鑑真とともに渡日した唐僧の虚滝(ころう)が天平勝宝8年(756年)に聖武天皇の勅願で創建したという。

『和州忍辱山円成寺略言志』も同様の創建縁起を伝えるが、虚滝なる僧については、他に確認できる史料がない。

一方、『忍辱山知恩院縁起』によれば、この寺は京都東山鹿ケ谷に円成寺を建立した益信という僧が、延喜年間に大和忍辱山を訪れ、この地に寺を建てて円成寺と号したという。

「苑池」から眺めた風景で、正面の建物は楼門。

本堂前から楼門(応仁2年(1468年)建)。

本堂 – 室町時代の建築だが、全体の意匠は寝殿造風。

入母屋造で妻入(屋根の形が三角形に見える方向を正面とする)とするのは仏堂建築には珍しい。

寺の説明には文正元年(1466年)建立とあるが、文化庁の資料では棟木銘から文明4年(1472年)建立としている。

現本尊である阿弥陀如来坐像は、技法・作風から11世紀後半〜12世紀初頭の作とみられ、『円成寺縁起』に登場する経源が本尊として安置した阿弥陀像がこれに当たる可能性もある。

柱には阿弥陀如来に随って来迎する二十五菩薩の像が描かれている。

現存する多宝塔は平成2年(1990年)の再建で、旧多宝塔は大正9年(1920年)、老朽化のため撤去された。

ちなみに、鎌倉市の長寿寺にある観音堂は、旧円成寺多宝塔の初層部分の材を用いて建てられたものである。

多宝塔には現在は大日如来坐像の新調されたレプリカが安置されており、金色に光り輝く姿をみられる。

春日堂(左)・白山堂(右)(国宝)

本堂の脇に建つ2棟の社殿で、2棟とも同規模・同形式。

安貞2年(1228年)の再建といわれる。
春日造社殿の現存最古の例として国宝に指定されている。

明治初期の神仏分離令による破壊をまぬがれるため、仏堂風に「堂」と称した。

新緑のきれいな境内、秋には美しい紅葉が見られる。

行きにくい場所にあることから隠れ寺の感がある。

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