不審ヶ辻の鬼

奈良県

この冬2度目の寒波到来とのことで奈良に撮影に出かけたが今回も空振りに終わった。

土塀の残る高畑町、正式には「たかばたけちょう」と詠む。

村内は東部の上高畠、西部の下高畠に大別され、上高畠は春日神社の禰宜町で神官や禰宜が多く住み、下高畠は奈良町に接し商家などの町屋の町となっていた。

下高畠の町場は東山街道(柳生街道)に沿って町場化していった。

志賀直哉 – 1925年(大正14年)から1938年(昭和13年)にかけて高畑町で暮らしていた。旧居が文学館等として公開されている。

多くの文化人が憩った志賀直哉旧居
白樺派の文豪「志賀直哉」が昭和4年から9年間住んだ旧居(敷地435坪、建物134 … 続きを読む →


御蓋山にわずかに雪が残るみ。

ここ飛火野で雪と戯れる鹿、雪に難儀する鹿が撮りたかった。

少しズームして見る。御蓋山は万葉歌にもよく読まれている。

高按の 三笠の山に 鳴く鳥の 止めば継がるる 恋もするかも —山部赤人、万葉集巻3・373

天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも —阿倍仲麻呂、古今集巻9・406

浮見堂にも少し雪が残る。

サギか寒そう、そういえば浮見堂は鷺池の中央にある。

さて、不審ヶ辻だが、ホテルサンルート南側の細い路地を入る。
奈良ホテルへの近道と記された小さな看板が目印。

正面が奈良ホテルの崖下になる。

不審ヶ辻子という名前は江戸時代につけられてから変わっていない。
東は大乗院門跡で西の袋小路であり古くは、西隣の鶴福院領内であったとされ、 能役者や大名役人衆の宿泊所を提供する宿割町とだったとされている。

不審ヶ辻子の鬼(ふしんがつじのおに)

昔、ある夜1人の賊がならまちの長者の家に忍び込みました。

長者は賊を捕らえると、鬼隠山(きおんざん)(現在の奈良ホテル周辺)から谷底へ投げ落とし、賊を殺してしまいました。

その後、この賊が鬼となり、毎晩元興寺(がんごうじ)の鐘楼に現れるようになり、人々を悩ませていました。
当時、元興寺にたいそう力持ちの小僧がおり、その小僧が鬼を退治することになりました。

小僧は鬼を退治しようと争いましたが、なかなか勝負がつかず、とうとう夜が明けてきました。

鬼は朝日を浴びると鬼では居られなくなるので、慌てて逃げ出しましたが、小僧は鬼の後を追いましたが、あるところで鬼の姿を見失ってしまいました。

それからその辺りを「不審ヶ辻子(ふしんがつじ)」と呼ぶようになりました。

西を振り返る、陽は沈みかけている。

この元興寺の鐘楼は、今は、新薬師寺に移されてて、鐘には鬼の爪あとがぎょうさん残ってるということや。
勇敢な小僧とは後の道場法師。

光明皇后創建の新薬師寺
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