御結鎮神事は御弓始めともいわれ神功皇后の故事(新羅遠征)にちなみ、邪気退散、天下泰平を祈願して行う奉射の神事で、一切の不浄を祓い、福を招くといわれている。
年の初めにあたり、農事に禍(わざわい)をもたらす悪霊を退散させることを目的として行われてきた。
奉射は大阪府弓道連盟有志により、執り行われる。
御結鎮神事の行われる神館。
普段は厳しく閉門され、けっして開放されることのない神館は、大正天皇の御即位大礼を記念して建立された玉座を有する歴史的建造物です。
中世貴族が愛した御殿造りと呼ばれる木造建築で、回廊からの石庭の眺めや樹齢一千年以上の大楠の風情など、ゲストを最上のおもてなしで迎えます。
今日は回廊からの撮影です。
江戸時代の<住吉名勝図絵>を紹介します。
石舞台を挟んで、池越えに 東に向かって射た様子が描かれています。
神事を終えた奉仕者の方々が入場。
奉行 幣 日記
背景に巡らされている幕に御注意下さい。
この幕は鯨幕と呼ばれるもので黒白の斑(まだら)幕です。(ご葬儀で使われる物とは形式が異なります、裾の部分が違います、葬儀で使われるようになったのは昭和に入ってからだそうです。)
この鯨幕は各式の高い神社で最も重要な行事を行う時に用いられます。
御皇室では慶事の時に用いられるそうです。
いよいよ始まりです。
奉行が「はじめそうらえ」射手が「かしこまってそうろう」とあいさつ。
審判をする人たち、的に当たると白い幣がサッと上がる。
射手は10名で男性は直垂(ひたたれ)、女性は狩衣(かりぎぬ)を来て、頭には立烏帽子、足は浅沓(あさぐつ)をはいて古式ゆかしい装束を身にまとい、古式の所作にもとづいて矢を射る。
たとえば、弓を射るときにはめる革製の手袋(ゆがけ)は、生涯、ひとつだけで、替わりがないこと。
それが「かけがえのない」という言葉の由来となった。
そのまま弓を引くと袖に引っ掛かりますので「肌脱ぎ」といって左肩を服から出します。
女性の場合は袖をたすきでまとめます。
この弓矢神事の奉射は、的当てを競うものではありません。
的を射た矢は 「天の邪気を祓い」、
はずれた矢は 「地の邪気を祓う」と。。。
云われているそうです。
鳥の羽は反りの向きで表裏があり、これを半分に割いて使用し、一本の矢に使う羽は裏表を同じに揃えられるため、矢には二種類できる。
矢が前進したときに時計回りに回転するのが甲矢(はや、早矢・兄矢とも書く)であり、逆が乙矢(おとや、弟矢とも書く)である。
甲矢と乙矢あわせて一対で「一手(ひとて)」といい、射るときは甲矢から射る。
女性の場合は「肌脱ぎ」でなく袖をたすきでまとめます。
射たれた矢のスピードが200~250km/hとのことで飛んでいる時は殆ど見ることが出来ず、的を射て後ろの畳みに突き刺さった音で飛んできたことが分かるといった具合。
一の組が一巡すると、射た矢が回収され、持ち主に返されます。
競技が終わるとまず最初にゆがけを外します。
弓十番ということで、全部で十回されるのでしょうか。
昔は夜通し行い、馬などが景品として与えられたそうですが。
前回の神事の記事、動画もあり、わかりやすくなっています。
邪悪退散・天下泰平を祈願 住吉大社 御結鎮神事
「お弓神事」とも呼ばれている同大社の伝統行事。 弓のつるや、矢の風きりの音などで … 続きを読む →