華岡青洲の里

和歌山県


春林軒

~華岡青洲の住居兼診療所~

当時の青洲の住居兼診療所で医学校でもあった建物群。特に主屋と蔵は当時そのままの建物で、その他の建物は発掘調査資料などに基づいて復元された。

かつての待合室、診察室、奥の間などとして使われていた主屋の各部屋では、青洲がはじめて麻酔を使用した手術風景をはじめ、家族の協力を得て行った麻酔の実験、門弟に講義をする様子などが、人形と音声を使ってリアルに再現されている。

全身麻酔薬の発明とそれを使った初の乳癌(がん)手術に成功し、人々の命を救うことに生涯を捧げた医聖、華岡青洲。

1760年(宝暦10年)、紀の川市(旧那賀町)に生まれます。
代々医者の家系で父のもと医学を学び、23歳の時に京都へ遊学。

オランダ医学系統の外科学や儒学の研究に没頭し、ここで麻酔剤を使った開腹手術の存在を知ります。
 
帰郷後青洲は、診療の傍ら麻酔剤を考究。当時としては新しい「実験」を繰り返し、動物実験の成功後、自らの妻と母を被験者として麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を完成させました。

その名声は全国にとどろき、多くの患者や学生が青洲を訪ねて来県。
紀州藩の公職に就いてもなお一般患者の診療を続け、命と向き合い、医者としての使命を全うした。

曼荼羅華(まんだらげ)

薬用植物ではあるが毒性も著しく強く、「キチガイナスビ」といった別名を持つ。

チョウセンアサガオの薬効は、古くから知られており、中国明代の医学書「本草綱目」にも、患部を切開する際、熱酒に混ぜて服用させれば苦痛を感じないとの記述がある。

ベラドンナやハシリドコロなどと同様にアトロピンを含んでおり、過去には鎮痙薬として使用された。

世界初の全身麻酔手術に成功した江戸時代の医学者である華岡青洲は、本種を主成分としていた精製した麻酔薬「通仙散」を使用していた。

このことから日本麻酔科学会のシンボルマークに本種の花が採用されている。

文化元年(1804年)には、世界初の全身麻酔による乳癌摘出手術に成功。

アメリカのエーテル麻酔成功より40年余前の快挙でした。


主屋奥居間

妻が実験台になって、麻酔薬の実験が行われている様子。

なかなか目覚めない妻の様子を心配しながら見守っているところ。



文化元年(1804年)世界初の全身麻酔手術を成功したことで華岡青洲の名声は広まり、全国から多くの患者と入門希望者が次々と集まった。

彼らを迎え入れて育成するため青洲は建坪20坪余りの自邸兼診療所の近くに、建坪220坪の住居兼病院・医学校を建設した。これが「春林軒」である。

輩出された門下生は1,033名、大坂・中之島に作られた分校「合水堂」門下生を含めると2,000名を超え、彼らにより日本全国に華岡流外科医術が広められた。

主屋客室

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