秀吉が滞在した八代城は、古麓から麦島、そして松江へと、時代の趨勢とともに移り変わり、今なお、各地に歴史の光陰を残しています。
本丸北辺の廊下橋、右の石垣は大天守台。
古麓城(ふるふもとじょう)は、八代市古麓町の東側の山岳にあった南北朝時代から戦国時代にかけて築かれた城塞群で、南朝方の重要拠点であった。
八代には一時、征西府、高田御所(こうだごしょ)[6]が置かれ、その名残りとして懐良親御陵がある。
中世で八代城といえばこの古麓城をさした。
城塞は7つの山城であり、名和氏が築いた五城と、相良氏が築いた二城に分かれる
戦国大名相良義滋の居城であった鷹峯城も後者の一つ。
貿易港徳淵津 (徳渕津)の発展もこの頃のことである。
相良氏はその後島津氏に屈し、さらに島津氏は豊臣秀吉の九州征伐を受けた。
その後に肥後国を領した佐々成政は、肥後国人一揆を引き起こした責により翌年改易・賜死となるが、球磨郡を除く肥後国は加藤清正と小西行長が半国ずつを領することになり、この時に古麓城は廃城となった。
八代宮,、八代城趾の中央、大書院跡に19世紀に造られた。
大天守台の東側にある唐人櫓跡。
唐人櫓跡をアップで。
小天守跡。
大天守台跡。
大天守台跡。
大天守台から見た廊下橋。
大天守台の穴蔵。
大天守へは、小天守を経由して穴蔵から大天守に上がって行く構造となっている。
高麗門は「欄干橋門」とも呼ばれ、八代城本丸の正門に当たる表桝形門の一の門になり、高麗門を通り抜け、鍵の手に曲がった所に二の門である頬当門がある。
これは外部からの敵が直進して城内に入るのを防ぐために造られた。
欄干橋は木造の太鼓橋であったが、現在はコンクリート製の橋が架けられている。
本丸南辺の様子。
手前石垣上は月見櫓跡。
橋は明治時代に本丸に八代宮の社殿が建立された時に造られた神橋。
宝形櫓跡。
宝形櫓は方形櫓とも表わし、二階建ての櫓であった。
磨櫓跡。
高麗門の南側にあった平櫓。
麦島城。
宇土城主となって古麓城を廃した小西行長は、家臣の小西行重に命じて球磨川の三角州に総石垣造りの麦島城を築城させた。
麦島の地は北西側が大きな入江となっており、後に開削された前川によって中洲となった。
平城の中でも水城(みずじろ)と呼ばれる水運・水利を最大限に活用した特異な城で、船で直接海からも出入りできたと考えられている。
豊臣秀吉の直轄地とされ貿易港徳渕津が近くにあって、海上交通の要所であった。
天正20年(1592年)6月、文禄の役の間隙を縫って梅北一揆が麦島城に攻め寄せたが撃退している。
慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いに敗れた行長が斬首され、小西家は改易となった。
球磨郡・天草郡を除く肥後52万石を与えられた熊本城主加藤清正は、重臣加藤正方(片岡正方)を城代として麦島城に入れた。
元和の一国一城令によって熊本藩内の南関城・内牧城・佐敷城などが取り壊されても、麦島城は例外的に存続が認められていたが、元和5年(1619年)の大地震のために倒壊し廃城となった。
欄干橋跡と高麗門跡。
本丸正門の欄干橋と高麗門跡(本丸東辺)
松江城。
豊前小倉藩37万石の藩主だった細川忠利が肥後熊本藩54万石(鶴崎2万石を含む)へ移封され、12月に熊本城に入城した。
忠利の父細川忠興(三斎)は幕府の内命を受けて八代城に入り、北の丸を隠居所として、四男の立孝を本丸に住まわせた。
いずれ自分の隠居料9万5千石を継がせて立藩させることを望んでいたようだが、寛永18年(1641年)に忠利が亡くなり、正保2年(1645年)閏5月に相次いで立孝も若くして没し、二人の子に先立たれた忠興も同年12月に没した。
正保3年(1646年)、2代藩主光尚は、島原の乱においても活躍し、将軍徳川家光直臣の身分も持つ筆頭家老松井興長を八代3万石に移封して八代城城主とし、立孝の子・宮松(細川行孝)には宇土郡・益城郡内に3万石を与えて宇土支藩とした。
以後明治3年(1870年)の廃城まで松江城(八代城)は代々松井氏が居城とする。
慶安2年(1650年)12月、光尚は亡くなるが、興長は明暦元年(1655年)に予てより進めていた松江村の西の干拓で土地を広げ、新地に松球磨村(後の坂本村)からの移住民からなる松崎村(現松崎町)を造った。
干拓事業は以後も歴代城主によって続けられ、現在の八代市を形作る上で大きな影響を与えることになる。
八代城本丸西辺の石垣と内堀
左端の出隅は大天守台、その右、突きだし石垣が小天守台、右端角は月見櫓跡。
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八代城へのアクセス、行き方歩き方
熊本県八代市松江城町7-34
0965-33-4533 (八代市文化まちづくり課)
JR八代駅→九州産交バス八代産交行きで10分、バス停:八代宮前下車、徒歩すぐ