小野篁関連のブログ集
代表歌
参議篁(小野篁)(百人一首より)
わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟(『百人一首』11番)
泣く涙雨と降らなむわたり川水まさりなばかへりくるがに(『古今和歌集』)
「六道」とは、仏教の教義でいう地獄道(じごく)・餓鬼道(がき)・畜生道(ちくしょう)・修羅(阿修羅)道(しゅら)・人道(人間)・天道の六種の冥界をいい、人は因果応報(いんがおうほう)により、死後はこの六道を輪廻転生(りんねてんせい)する(生死を繰返しながら流転する)という。
この六道の分岐点で、いわゆるこの世とあの世の境(さかい)(接点)の辻が、古来より当寺の境内あたりであるといわれ、冥界への入口とも信じられてきた。
このような伝説が生じたのは、当寺が平安京の東の墓所であった鳥辺野に至る道筋にあたり、この地で「野辺の送り(のべのおくり)」をされたことより、ここがいわば「人の世の無常とはかなさを感じる場所」であったことと、小野篁が夜毎(よごと)冥府通いのため、当寺の本堂裏庭にある井戸をその入口に使っていたことによるものであろう。
この「六道の辻」の名称は、古くは「古事談」にもみえることよりこの地が中世以来より「冥土への通路」として世に知られていたことがうかがえる。
小野篁(802年~852年)は参議小野岑守の子。嵯峨天皇につかえた平安初期の官僚で、武芸にも秀で、また学者・詩人・歌人としても知られる。
文章生より東宮学士などを経て閣僚級である参議という高位にまでなった文武両道に優れた人物であったが、不羈な性格で、「野狂」ともいわれ奇行が多く、遣唐副使にも任じられたが、大使の藤原常嗣と争い、嵯峨上皇の怒りにふれて隠岐に流罪されたこともある。
閻魔王宮の役人
また、なぜか閻魔王宮の役人ともいわれ、昼は朝廷に出仕し、夜は閻魔庁につとめていたという奇怪な伝説がある。
かかる伝説は、大江匡房の口述を筆録した「江談抄」や「今昔物語」「元亨釈書」等にもみえることより平安末期頃には篁が、閻魔庁における第二の冥官であったとする伝説がすでに語りつたえられていたことがうかがえる。
こうした篁の冥官説は、室町時代にはほぼ定着した。
今なお、本堂背後の庭内には、篁が冥土へ通うのに使ったという井戸があり、近年旧境内地より冥土から帰るのに使った「黄泉がえりの井戸」が発見された。
そばには篁の念持仏を祀った竹林大明神の小祠がある。
今昔物語などによると、小野篁は、亡くなった母に会うために冥土に通い始めたといれる。
閻魔大王の補佐として、無実の罪で地獄へ落ちた人を救ったり、閻魔大王の裁きの助言をしたりしていたといわれる。
「今昔物語集」によると、小野篁が学生時代に罪を犯したとき、藤原良相(ふじわらよしみ)が弁護をしてくれたという。
後、藤原良相が、重病で死去し、閻魔王庁で罪を定められようとしたとき、閻魔大王のそばに小野篁がいて、この人は、正直で良い人なので許してあげて欲しい」と言い、藤原良相は生き返ったという。
藤原良相は、朝廷で、小野篁に会い、閻魔王庁でのことを礼を言うと、「昔、私の弁護をしてくださったお礼をしただけ」と言われたという。
小野篁卿墓・紫式部墓所
京都市北区紫野西御所田町の島津製作所紫野工場の一角に、紫式部のものと隣接した墓所がある。
加賀・前田藩の家臣で、小野篁の子孫と称する横山政和が小野篁の墓が荒れているのを歎き、塋域に石柵を設け、墓標を設けた際にこの碑を建てたものであるという。
この塋域の土地の所有者は大徳寺の芳春院である。
墓を守っているのは「紫式部並小野相公顕彰会」を主催している市川恵一である。
みなとや幽霊子育飴本舗
京都市の東山区松原通の六道の辻近くに飴屋「みなとや 幽霊子育飴本舗」がある。
六道の辻は京の葬送の地のひとつである鳥辺野の入口にあたる場所である。
「みなとや」で売られている「幽霊子育飴」に添えられた由来によれば、1599年(慶長4年)に女性が亡くなり埋葬され、数日後にその土の中から子どもの泣き声が聞こえてきたので掘り返すと、亡くなった女性が産んだ子どもであった。
ちょうどそのころ、毎夜飴を買いに来る女性があったが、子どもが墓から助けられたあとは買いに来なくなったので、この飴は「幽霊子育ての飴」と呼ばれるようになった。
その時助けられた子どもは8歳で出家し高僧となった、とのことである。
伝説では水飴だったが、今は固形で琥珀色のものを取り扱っている。原材料は麦芽・水飴・砂糖。
落語「幽霊飴」
桂米朝によると、上方落語の2代目桂文之助による落語に『幽霊飴』という話があるという。
夜、女が六道あたりの飴屋に飴を買いに来るというあらすじはほぼおなじだが、落語では女が姿を消した墓の場所が高台寺(コヲダイジ=子を大事)という落ちになっている。
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