芦生の森原生林 関西最後の秘境

京都府

原生の森と呼べる場所は関西には少ない。
京都府の北東部、南丹市美山町にある芦生の森は京都大学の研究林として、その原始の姿が守られてきた。

研究林事務所に入山申請書を出してスタート。
本来は入山林禁止のところを、申請者に限り許可されているのだということを知っておこう。
現在、芦生研究林に入るには事務所前を通る方法しか認められていない。

入林者増大によるオーバーユースの問題や、万一の時に入山者を把握できないと対処ができないこと(遭難事故は毎年のように発生している)などの理由からだ。
10人未満のパーティなら当日の申請でOK。

入山申請書は研究林事務所か、研究林入口の仮入林受付所(ボックス)に提出する。
10人以上の場合は1週間前までに事前申請し、許可審査を受けることになる。

ハイカーが歩けるのは、林道と歩道。
それ以外に入ることはできない。
その他のルールは、一般的な山でのマナーと変わらない。

歩くのは入門コースのトロッコ道だ。
由良川に架かる軌道橋を渡って芦生の森へ。

木漏れ日を浴びながら枕木を踏みしめて歩く。

芦生の森は京都府の北東端、滋賀県と福井県に接する場所にあり、日本海にそそぐ由良川の源流域にあたる。

日本海型と太平洋型の気候が混ざり合う地域で、植生の区分も寒温帯と暖温帯が入り混じる移行帯にあたる。

標高は353~959mで、600~800mの部分が全体の三分の二を占めている。
京都市内と比べると、平均気温は3~4℃低く、平均降水量は約1.5倍となっている。

長冶谷(標高640m)の積雪深は2m近くにも及び、12月半ばから4月初めまで根雪に閉ざされる。

この地を京都大学が大正10年(1921年)から学術研究と実地演習のために99年間の契約で借り受けており、薬4200haを芦生研究林として利用している。

現在、研究林内で確認されているのは、木本植物が243種、草本植物が532種、シダ植物が85種となっている。
植物分類学者の中井猛之進博士(1882~1952年)が「植物を学ぶものは一度は芦生演習林を見るべし」と残しているように、芦生の森はまさに植物の宝庫である。

スギ林の中に石垣が現れた。
昭和35年に廃村になった灰野の最後の集落跡だ。
大きなトチノキが出迎えてくれる。

奥へ進むと、動物が何者かに食い散らかされた後とか、崖が崩落して迂回路が設けられている場所とか、普段目にすることのない風景に出くわした。

昼食時に見かけた可憐な草花、家に帰り調べたがわからないので長居植物園に聞きに行くと「ハナニガナ」という名の草花で山野でよく見かけるものと判明。

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芦生の森への行き方・歩き方

京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション 芦生研究林公式サイト

〒601-0703 京都府南丹市美山町芦生 
TEL.0771-77-0321 
FAX.0771-77-0323

公共交通機関
JR京都駅からJRバスで周山。南丹市営バスを乗り継いで約4時間~6時間。
京阪出町柳駅から京都バスで広河原(約2時間)。さらに徒歩約3.5時間。

自動車
京都大学から鞍馬経由で約2時間 (約60km 冬期通行止)。
【芦生の森】入り口に無料駐車場あり