先斗町歌舞練場で行われた新春花街舞初め特別講演2013の様子を報告します。
先ず演目「松の名所」による幕開けです。
「松の名所」松の精なる翁と姥の所作を題材とする長唄「高砂丹前」の一部で、祝言の意味を込めて、おめでたい松の名所をよみこんだ「松尽くし」の舞。
「梅にも春」新春の風物にかけて恋人を待つ女性の心情を描く。
「梅にも春」文を書く所作なのかなぁ。
♪ 梅にも春の 色を添えて 若水汲みか 車井戸
音もせわしき 鳥追いや 朝日にしげき 人影を
若しやと思う 恋の欲
遠音神楽や 数とりの 待つ辻占や ねずみ鳴き
逢うて嬉しき 酒機嫌
濃茶が出来たらあがりゃんせ ささ 持っといで
「春風が」春風に誘われて、男性に魅了される女性を軒下の梅に喩える。
あなたの中に私はどれぐらい居るのでしょうか
その瞳はいつも寂しそうで
いくつも痛みを知るから優しくなれたんでしょう
その痛み あなたの分も愛せたら
「夏は蛍」夏の夜の物憂げな女性の感傷を歌いこむ。
「青すだれ」長唄「菖蒲浴衣」(あやめゆかた)の一部で、風情ある夏の風景と恋する女心を描く。
もつれを結ぶ杯の ゆく末廣の菖蒲酒 これ百薬の長なれや
廻る盃かずかずも 汲めやくめくめ 盡きなき酒の泉の芳村と
栄ふる家こそめでたけれ
「春の声」一調一管、藤舎名生(とうしゃめいしょう)作曲・作詞による素の演奏曲。
先斗町を代表する笛と小鼓の名手による、格調高い繊細な楽器の妙味を堪能。
「島の千歳」白拍子の祖、島の千歳を唄ったもので、全体的に上品な祝賀の気分があふれた作品。
白拍子(しらびょうし)という舞の始祖とされる、島の千歳(しまの ちとせ)というキレイなおねえさんの所作(踊りね)です。
おねえさんの名前は「千歳(ちとせ)」なのですが、タイトルでは「千歳(せんざい)」と読んでいます。
「秋の色種」(あきのいろくさ)お座敷長唄誕生初期の代表曲で、秋の景色を唄い、夢幻的な美しさと上品さを備える。
秋の夜長をイメージの中で満喫してください。
まず最初に虫の鳴き声を思い出して下さい。
松虫、鈴虫の鳴き声を。
南部のお殿様が「どんな歌詞でも長唄になるか?」という事から、作曲されたそうです。
「もみじの橋」晩秋から初冬への季節の移り変わりを情緒たっぷりに歌います。
♪紅葉の橋の たもとから 袖を垣根の 言いずてに
ちょっと 耳をばかささぎの 霜も いつしか 白々と
積もるほどなお 深くなる 雪を めぐらす 舞の手や
ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー♪
「秋桔梗」秋の風物に託して、想う人への女心を表現。
「わしが在所」大原女が黒木などを売り歩く様を長閑に慧可板作品。
「京に田舎あり」ということわざを実感する唄。
「わしが在所は今日の田舎の片ほとり」と唄いながら、その地の風俗などを表現する、素朴な小品として、馴染み深い曲となっています。
表現されるものには、黒木売りや牛追いの姿などがあります。
「雪のあした」清元の名人と言われた作者が、雪降る朝去来する舟に、望郷の念にことよせた風景を描く。
雪のあしたの朝ぼらけ
浪花(なにわ)の浦の 真帆片(まほかた)帆(ほ)
往来(ゆきき)の船で便りする
妾(わたし)や こうしているわいな
最後はお馴染み「祇園小唄」 先斗町のテーマソングのように、常時お座敷で踊られる。
♪月はおぼろに東山
霞(かす)む夜毎(よごと)のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖(ふりそで)に
祇園恋しや だらりの帯よ♪
閉演後、舞を披露してくれたおねえさん方の見送りを受け家路へ。
最後に当日撮った動画をどうぞ、出来は良くありませんが、ま、雰囲気は伝わります。
先斗町歌舞練場へのアクセス、行き方歩き方
住所:京都市中京区先斗町通三条下る橋下町130
電話:075-221-2025
京阪電車「三条」駅下車徒歩5分
市バス「河原町三条」下車徒歩5分