コロナの影響で人出が減り、鹿の出没する場所も変わってきたのではないか。
吉城園があるのは奈良県庁の東部、歴史ある奈良のお屋敷町といった土塀や白壁が多く残る一角。
県庁の東北側にある登大路町という交差点から東へ入った地点に入り口があります。
池の庭 – 江戸時代からの自然の地形、起伏、曲線を巧みに利用し、西に建つ旧正法院家住宅と一体となるよう造られている。
蹲かな、それにしても大きい。
吉城園は、「興福寺古絵図」によると同寺の子院の摩尼珠院があったところとされています。
明治に民間の所有となり大正8年(1919年)に現在の建物と庭園が作られました。
企業の迎賓施設の時代を経て、昭和の終わりから奈良県が所有し庭園を公開しています。
苔の庭 – 全面が杉苔に覆われた庭園で、茅葺屋根の離れ茶室と一体となり閑静なたたずまいを見せている。
地下に飛火野と同系の地下水脈が流れていると言われ、杉苔の生育に適した土地となっている。
切妻屋根が三つ(二つの向こうにもう一つ見えます)並んだ珍しい茶室です。
斑入りツワブキ。
斑入りや八重咲き、丁字咲き(花芯が発達してアネモネ咲きになる品種)などの園芸品種が栽培されてきました。
「離れ茶室」の南側にある石灯籠と手水鉢。
鉄鉢型の手水鉢は苔で覆われ趣がある。
竹で造られた水を流す樋は筧と呼ぶ。
手水鉢の右手にある石は湯桶石(手を清めるために一時的に茶室で使う湯桶を置く石)、手水鉢の左手にある石は手燭石(夜の茶会で使う手燭という明かりを一時的に置く石)がある。
手水鉢とこれらの石をあわせて蹲踞と呼ぶ。
礎石のようなものも使われています。
日本庭園の魅力は「苔」と「砂利」と思っている。
曲線美のグリーンとシルバーが見事に調和。
茶室の東側は杉苔でおおわれたお庭です。
離れ茶室内杉戸絵、羅俘山の扁額。
観光客の数もそれほど多くないため静かな写真撮影などには適した空間にもなっています。
秋には「苔の庭」の周囲のモミジが色付き、美しいコントラストも楽しめます。
観光客で溢れる東大寺や奈良公園と違い静寂な世界。
2022年に高級ホテルの開業が予定されており、さらに整備される可能性もあり今後の変化が愉しみな庭園でもある。
(当初2019年開業であったが、2022年に延期されました。)
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