「石仏の里」当尾(とうの)の仏像巡り

京都府

先日岩船寺を訪れ当尾の石仏巡りがしてみたくなったのと、岩船寺のアジサイの咲き具合が今一だったので再訪した。

「石仏の里」と呼ばれる当尾(とうの)は、中世には修行のため数多くの寺院が建てられました。 
現在残る「岩船(がんせん)寺」と「浄瑠璃寺」の二寺の周辺には数多くの石仏や石塔が点在します。

鎌倉時代の名高い石工が彫った石仏と、岩船寺、浄瑠璃寺を参拝する「当尾の里」巡りです。

前回一週間前に訪問の当尾のあじさい寺 岩船寺も併せてご覧ください。

今回は文句なく満開です。
土曜日ということもあり、観光客も多く撮影に苦労。

ご縁観音。

「本堂」の南側の池の傍に「身代地蔵菩薩」がある。

この地蔵は土中から掘り出されたもので、罪深い衆生を仏道に導くために、成仏されることなく衆生の苦しみを自ら受けられる地蔵という。

ここで不愉快な出来事があった。
三脚を据えて撮影している最中にJR東海のツアーの面々があらわれ、ガイド嬢いわく「すみません、どいてください」

「なっ、なんと、人が何しているか見りゃわかるやろ」
と、言いたいところカメラマンのマナーの悪さが云々される昨今、言葉を飲み込んだ。

途端にツアー客がドッと人のカメラの前に・・・・
団体の横暴も許されまへんで。

ここは三脚禁止になっていませんでしたが、トラブル起こすと三脚禁止になりかねない、そうなると多くのカメラマンに迷惑がかかる、グッと我慢の子でした。

門前左側にひっそりと建つ石龕のお地蔵さまです。
南北朝時代。

これから浄瑠璃寺までの約1.7㎞の仏像巡りの出発です。

一願不動(岩船不動明王立像)【弘安10(1287)】

ただ一つだけのお願いを、一心にお願いすれば、叶えてくださるという一願不動さん。

高さ1.2mほどで右手には剣を持ち怒った顔をされています。
(母親が子どもを叱るように、愚かな人間を叱っているそうです)

仏像巡りの途中にはこんな岩が所々にあって、なかなか趣きのある径です。

わらい仏(岩船阿弥陀三尊磨崖仏)【永仁7(1299)】★京都府指定有形文化財

当尾の代表的な石仏の一つです。
蓮台を持つ観音菩薩と合掌する勢至菩薩を従えた阿弥陀仏です。

永仁7年(1299)の銘文があり、上部の屋根石が廂となっているので、風蝕の影響も少なく保存状況は良好です。

特に夕陽の中にたたずむ、やさしい微笑みをたたえた姿は微笑ましいものがあります。
伊行末の子孫(と伝えられる)伊末行作。

この画像は傾きを修整しています。
上の画像の角度が正確です。

眠り仏(埋もれ地蔵)【南北朝】

わらい仏の向かって左脇に、半身を土のお布団にくるまれて心地よくすやすやと眠るお地蔵さまがいらっしゃいます。

眠りながらも右手には錫杖を持っておられます。
わらい仏と同じ伊派の石工行経(作)か?

このような説明が付けられていました。

日中でも涼しい木陰の径を進む。

少し開けたところへ出てきました、アジサイもきれいに咲いています。
ずっと奥の方まできれいな棚田が続いています。

カラスの壷【康永2(1343)】

古くから分岐点にあります。
岩の中央に15cmほどの穴が掘られた礎石が粉を挽く唐臼に似ていることから「からすの壷」と呼ばれます。

カラスの壷二尊(阿弥陀・地蔵磨崖仏)【康永2(1343)】

一つの岩に阿弥陀如来坐像と、面を変えて地蔵菩薩立像が彫られています。

阿弥陀仏の横に線彫灯籠は、火袋を彫り込み、そこへ燈明が供えられる珍しいものです。

あたご燈籠【江戸】

三叉路に建つ形式にとらわれない変わり燈籠で、愛宕神は火の神様(火伏せ)を司っています。

当尾ではお正月にここからおけら火を採り雑煮を炊く風習があったそうです。
同型の燈籠が、穴薬師の前と岩船の集落にもあります。

やぶの中三尊 十一面観音菩薩立像・地蔵菩薩立像・阿弥陀如来坐像

東小田原西谷浄土院 弘長二年(1262) 大工 橘安縄 小工 平貞末

正面に地蔵菩薩、向かって右に錫杖を持つ長谷型十一面観音。
左の岩には阿弥陀如来坐像。

銘文にある弘長二年は当尾の石仏にある年号銘中最古のもの。

左の岩の阿弥陀如来坐像。

近鉄「奈良駅」からは「急行バス浄瑠璃寺前」行きに乗車、通常片道570円のところ、一日フリー切符500円でした。
ラッキー。

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岩船寺へのアクセス、行き方歩き方

住所:京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43番地
電話:0774-76-3390

JR関西本線(大和路線)「加茂駅」から徒歩約1時間30分。
またはコミュニティーバス当尾線「岩船寺」下車すぐ

JR・近鉄「奈良駅」からは「急行バス浄瑠璃寺前」下車徒歩約40分。
またはコミュニティーバス当尾線乗り換え「岩船寺」下車すぐ