その昔、白黒の2羽の鵜が岩から飛び出し、留まった樹の跡から甘水が湧き出し、香水が満ち溢れたのが湧水のはじまりという記録が残っている。
毎年3月2日の夜「お水送り」の神事が行われ、春を呼ぶ行事として有名。
若狭神宮寺に渡ってきたインド僧実忠は、その後東大寺に二月堂を建立し、大仏開眼の2ヶ月前から祈りの行法(修二会)を行った。
初日に「新名帳」を読み上げて日本国中の神々を勧進したが若狭の遠敷明神だけが漁に夢中になって遅れ、あと2日で終わるという日に現れた。
そのお詫びとして、二月堂のご本尊にお供えする「閼伽水」(清浄聖水)を献じる約束をして地面を割ると白と黒の2羽の鵜が飛び出して穴から清水が湧き出した。
若狭の「鵜の瀬」より地下を潜って水を導かせたのである。
この湧き水を「若狭井」と名づけ、1250年の長きに渡って守り続けられているその井戸より「閼伽水」を汲み上げ本尊にお供えする儀式が、大和路に春を告げる神事「東大寺二月堂のお水取り」である。若狭小浜の神宮寺では、奈良に先立つこと10日、3月2日にお水送りの神事が執り行われる。
お水送り神事、鵜瀬資料館の資料より。
3月2日、奈良東大寺二月堂へ水を送る神事「お水送り」が行われる。
神宮寺境内の大護摩から松明にもらい受けた火を手に鵜の瀬まで約2キロ、三千人を超える松明行列が続く。
過去の取材記録、「お水送り神事」
春先取り 火と水が織りなす荘厳の世界 お水送り
天平勝宝 4年(752)インドの渡来僧・実忠が二月堂の建立の時、修二会を催して全 … 続きを読む →
遠敷川(おにゅうがわ)は福井県の小浜市を流れ北川に注ぐ一級河川。
和銅5年712年までは「小丹生」と書かれていたという遠敷を流れる。
ここも京へ鯖を運ぶ道のひとつであった。
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