耕して天に至る 日本のマチュピチュ 遊子水荷浦

四国

土佐久礼で朝日の撮影を終え、四万十川を一路西へ。
最後の訪問地、遊子水荷浦へは4時間強の遠距離です。

旅行社もあまりの長距離に企画を却下したという、この撮影行は写真家竹下氏の熱意で実現した。

トイレ休憩の地、「道の駅 四万十 とおわ」川霧の見事さに参加者は競ってシャッターを切る。

それは、宇和島城下からさらに約40分、起伏に富んだリアス式の海岸線を南に走ったところにあります。

写真中央の遥か彼方の山が遊子水荷浦(ゆすみずがうら)です。

水荷浦・・・、水に乏しく生活水を担い運んできたことに由来する名を持つその場所・・・・・

この地区から嫁に行った女性は、実家に帰るときには水を天秤棒につるして土産として持ち帰ったなどというような話が多く残されていて、水が乏しいため水を荷って運んできた浦で、“水荷浦”とする方がこの地区の風土をよりあらわす名称としてふさわしいものです。

紺碧に輝く海際から尾根筋にいたる一面に城壁を思わすような石垣が目に飛び込んできます。

ただ、浦ができた当時は麓のあたりを開墾した程度で、斜面一面に”段々畑化”していくのは、人口が増加する江戸時代の終わり(天保年間)の頃で、またこの頃にはサツマイモが伝わり、重要な作物として沿岸部一体で栽培されるようになりました。

昭和30年代、サツマイモの大暴落(生産過剰と砂糖・糖蜜類の輸入)、しかし、冬に植え春に収穫するジャガイモ栽培に成功すると、驚くほどの価格で取引され、丸に水をあしらった商標で売り出して、水荷浦には大阪からの貨物船が横付けされるようにもなったそうです。

駒澤大学の調査によると、石垣のある場所とない場所とでは、夏場で最大7度の地温差があることがわかっています。

じっくりと日を浴びて温まることで、冬場でも1~2度の差があり、この差は芋の生育に非常に大きな違いが出るとのこと。

昭和39年には早くもジャガイモが生産過剰で暴落してしまいます。

昭和30年代後半にはじまった真珠やハマチの養殖産業が軌道に乗り始め、全国屈指の養殖産業地域として発展を遂げていきます。

水荷浦の段畑は、眼前に広がる宇和海の美しさもあいまってまさに絶景。
「日本農村百景」などに選ばれており、平成19年7月には全国で3例目の「国の重要文化的景観」に選定されました。

谷積みの空積みといわれる独特の積み方。
長い歴史の中で崩れることなくその姿をありのまま留めています。

石積みの施工法には「練積み」と「空積み」があります。
練積みは裏込めにコンクリートやモルタルを使用して石を積み上げていく方法で、構造上は重量擁壁の一種とされ安定度が高く5メートルくらいの高さまでは積んでもよい。

空積みは、裏込めにコンクリートやモルタルを使わずに、割栗石や砂利を用いて石を積み上げる方法である。

「建築基準法施行令」の規定では、高さが2メートルを越える石積みは、練積みでないと認められない。

「日本農村百景」「宇和島24景」をはじめ「四国のみずべ八十八カ所」に決定され、400年前より耕し続けられた段畑の景観は段畑を守ろう会の皆さんの努力で守り続けられています。

本当にいい所へ連れてきてもらった、写真家竹下氏の熱意に感謝。

播磨灘に落ちる夕日を眺めながら家路を急ぐ。

大阪まで約8時間、遊子水荷浦は本当に遠かった。

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遊子水荷浦へのアクセス、行き方歩き方

宇和島市遊子水荷浦
0895-62-0091(段畑を守ろう会)

バス:JR宇和島駅より60分、宇和島自動車 蒋渕線「水ケ浦」下車
高速船:新内港より16分 盛運汽船 「水ヶ浦」下船