朽木に信長遁走の跡を訪ねる


興聖寺はもともと現在の位置とは安曇川を挟んで反対側の上柏村指月谷にあったが、江戸時代に大火に遭い、朽木氏ゆかりの秀隣寺のあった現在地に移ってきたという。

秀隣寺は、朽木宣綱が、慶長11年(1606)に正室の菩提を弔うために、かつての岩神館のあった地に建立した寺院で、後に現在の朽木野尻へ移っている。 
 
安曇川が形成した段丘の縁にある旧秀隣寺庭園。

安曇川の清流とその背後に横たわる蛇谷ヶ峰を借景としている。
足利庭園ともよばれるこの庭園は戦国時代に、戦火を逃れてきた12代将軍足利義晴を慰めるために贈られたものだと伝わる。

享禄元年(1528年)の秋、足利義晴は京都の兵乱を避け、朽木稙綱を頼ってこの地に約3年間滞在する。
その際に、佐々木一族京極高秀や浅井亮政、朝倉孝景等の協力で管領細川高国が京都銀閣寺の庭園を元に作庭した。

なお、細川藤孝も2人の将軍に供奉して朽木に滞在しており、この時の縁で朽木から程近い熊川の沼田氏の娘を娶っています。
後に藤孝の嫡男・忠興は、茶の湯の師である千利休をこの庭園に案内したとも伝わっているそうです。

本堂に入ると、内陣の柱と梁の部分は、龍図の金欄が飾られていて、豪華荘厳な感じ。

須弥壇の上に、本尊釈迦如来坐像(国・重要文化財)が安置されている。

平安後期、桧の寄木造りで作者は不明だが、定朝様式の仏像。

「後一条天皇の皇子が幼少のとき亡くなられ、天皇の叔父頼道がその供養に三仏を彫らせた内の一体」だとか。

現存する寺域は城郭を思わせる石垣で囲まれている。

北東に残る鬼門封じの石垣。

鬼門思想は中国から伝来した考え方であることに間違いはないが、日本の鬼門思想は中国から伝わった思想とは大きく違った思想になっている。

なぜなら風水に鬼門思想はなく、日本独自の陰陽道の中で出来上がった日本独特の思想であると考えるべきである。

これは、京都御所の築地塀が鬼門、北東方位が凹ませてあることから、御所ですら鬼門を避けている、除けていると考えられ、それから鬼門を除ける手法とされてきたことにある。

興聖寺脇の渓流沿いの小径、朽木氏の闘争のための経路という。
信長もこの経路で脱出したようだ。

元亀元年(1570)4月、浅井長政の裏切りに合い、絶体絶命の危機に見舞われた織田信長。
信長は京に逃げ帰る道として朽木街道を選択します。

この時、浅井長政の勢力下にあったはずの朽木元綱は、長政を裏切って信長に味方し、信長が朽木谷を通過することを許します。

この時、もし元綱が長政に義理立てしていたら、信長はこの段階で歴史の舞台から姿を消していたでしょう。

この間の様子を『信長公記』は
「4月晦日、朽木越えをさせられ、朽木信濃守馳走を申し、京都に至って御人数打ち納められ・・」
と、簡潔に記しています。

ある資料では、元綱は実際 “信長を殺す” 気で待ち構えていたとの説もある。
 
彼らの武装した姿を遠目で見た信長が武士としてのカンで殺気を感じ、これはまずいとまず松永久秀に彼の真意を確かめに行かせたのは正解だっただろう。
 
元綱の真意が確認されるまでの間、信長は三ツ石の岩窟に身をひそめて待機していたと云う伝承がある。
通称「信長の隠れ岩」と呼ばれている。

実際、久秀の長い説得でやっと元綱は平服に着替えて信長に手を貸すことになった。
 
元綱は、信長の領内通過を認めただけでなく、手厚く接待した。
その晩は朽木城に宿泊させ、翌日は京都までの警護役まで務めた。 

その結果信長は葛川(大津市)・大原(京都市)を経て、30日には清水寺まで無事に帰還することができたという。

では、何故元綱は長政を裏切ったのでしょうか?それは、朽木家は小なりと雖も佐々木源氏に繋がる血筋と、代々室町将軍を軍事的に支える奉公衆をつとめる抜群の「格」が、そうさせたとのだろうか。

しかも、朽木谷という要害にあり、将軍を支える軍事力を持っています。
いざとなれば、長政と一戦交えることも覚悟したのではないでしょうか。

元綱は考えました。
「信長は室町将軍の名代で越前に侵攻した。
奉公衆として信長に味方する道理が朽木にはある。」と。

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