平安の間は、「源氏物語」の主人公光源氏が人生を謳歌した第一部、第二部が紹介される。
物語の空間的な展示や装束、遊び道具、調度品が物語の世界へ誘います
「空蝉」の巻より。
源寺の君は、それならば向かい合って碁を打っている女たちの姿を見たいものだとお忍びになり、そっと歩き出して、簾の隙間に忍び込まれました・・・・・・
紀伊の守が任国へ下り屋敷が女ばかりの日を狙って、夕闇のころ小君は源氏をそっと邸宅に招き入れる。
部屋から覗いてみれば、空蝉と継娘の軒端荻(のきばのおぎ)が二人で碁を打っているところだった。
空蝉は身体の線が細くそれほどの美人というわけではないが、慎ましく振る舞っていて趣深い雰囲気を漂わせている。
反対に軒端荻は奔放で明け透けな様子で、どうも落ち着きがなくはしたない感じがするが、美人なこともありこれはこれで興味を惹かれる女だと源氏は感じた。
夜も更けて皆寝静まった。
しかし空蝉は寝息を立てる軒端荻の隣で横になりつつも、源氏のことを考えると眠ることができない。
そんな暗闇の部屋に芳しい香りが漂ってきた。
記憶にある香りにその正体を察知した空蝉は驚くが、声も音も立てずに寝床を抜け出して逃げてしまう。
状況の変化に気づかぬ源氏だったが、寝入っている軒端荻に寄り添ってみると、どうも以前と感覚が違う。
そこでようやく空蝉が逃げてしまったことを察知したのであった。
半蔀車(はじとみぐるま)
屋形の横にある物見窓(ものみまど)が、引き戸ではなく、上に押し上げる半蔀戸になっていることによる名称。
屋形そのものは檜の薄い板を編んでおり、いわゆる網代車(あじろぐるま)の一種である。
上皇・親王・摂関、大臣のほか、高僧や女房が用いることもある。
光源氏が造営した「六条院」は、4つの町に分かれており、それぞれ春夏秋冬の季節に合わせた庭が造られていました。
そして、春の町には紫の上、夏の町には花散里、秋の町には秋好中宮、冬の町には明石の君が住みました。
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