軽井沢の鹿鳴館 三笠ホテル

甲信越

三笠ホテルという名称は、敷地前方の愛宕山が奈良県の三笠山に似ていることから、有島生馬、里見弴、山本直光によって付けられたという。

中央二階の吹き抜部には、洋風建築の特徴である三角屋根、そしてアーチ型の窓枠で設計されている。

明治37年、三笠山のふもとに土地25万坪を購入した山本直良は、はじめは牧場を営むことを考えていたが、土壌に問題があり断念。

そこで定宿の万平ホテルの主人に知恵を借り、三笠ホテルを造ることを決意、設計を欧米に学んだ岡田時太郎に、監督を、商売敵であるはずの万平ホテルの佐藤万平に頼んだ。

旧三笠ホテルロビー。

実業家山本直良によるホテル開業は1906年(明治39年)5月。
この山本直良という人は、有名な音楽家・山本直純のおじいさんに当たる人です。

建物は1905年(明治38年)に竣工した日本人の設計による純西洋風建築で、また文化人財界人が多く宿泊したことから、「軽井沢の鹿鳴館」とも呼ばれていた。

建築様式はアメリカのスティックスタイル(木骨様式)、扉のデザインはイギリス風、下見板はドイツ風、用材は小瀬のアカマツを現場で製材した。

未改修部分を残す、説明に英国製のカーペットの採用とあり、これがそうなのかな。

夏でも朝晩の肌寒い時は暖炉を使用したという。
前回も触れましたが、軽井沢周辺の標高は1000メートル前後であり、年平均気温は7.8℃で、札幌の平均気温(8.5℃)よりも低いのです。

照明は電灯によるシャンデリア照明でした。

晩さん会に集まった著名人、山本直良夫人、近衛文麿公爵、黒田長和男爵夫人、黒田長和男爵、山本直良、徳川義親侯爵、毛利子爵夫人、有島武郎、里見弴、徳川慶久公夫人、近衛文麿夫人、西尾忠方子爵等の顔が見える。

シャンデリア、最初はアセチレンガスを使用、ほやにガラスの使われていた時代もあった。

驚くべき事は、客室30に対し定員は40人というところ。
この割合には、驚嘆するしかないですが、見学に行けば、もっと驚くこと間違いない。

あの規模で定員40人というのは、現在、日本中のどこを探しても見つからないでしょう。

上部に三笠ホテルのマークの付いたタンス。

有島生馬のデザインだそうです。

ちなみに創設者の山本直良の奥さんは、作家有島武郎の妹でした。

そういううこともあって、三笠ホテルは白樺派のサロンとしても利用されました。
また英国から取り寄せたすべての洋食器には、弟の画家有島生馬が絵付けを行いました。

三笠ホテルのマークの部分をクローズアップ

1906年(明治39年)、営業を開始し、客室は30室、定員は40名、宿泊料は一等が12円、二等が8円、三等が5円。

1925年(大正14年)に経営母体が変わり、(株)三笠ホテルとなり、明治屋に名義変更し、太平洋戦争中は、1944年、休業し、軽井沢が駐日外国人の主要疎開地として指定された事から、外務省の軽井沢出張所が設置された。

戦後は米陸軍第一騎兵師団に接収され、進駐軍の施設になり、1952年、米陸軍第八軍の使用が終了し、その後三笠ハウスの名称で営業を再開し(支配人山名伝兵衛)、1970年(昭和45年)まで営業を続けた。

1972年2月、日本長期信用銀行によって買収され、1974年2月、現在地の南方から70m移転し、1980年3月27日、日本長期信用銀行から軽井沢町に贈与された。

幾何学模様にデザインされたガラス窓は建築当初からのガラスがそのまま今も残されている。

英国製タイルを張った水洗便所。

トイレもかなりゆったりしています。

木造純西洋式のホテルとしては、札幌にある豊平館(1880年)に次ぐ古い建物である。

廊下の突き当たりのサンルーム。

外は相変わらず雨が降り続く、早朝から強い雨で出かけるのをためらっていたが思い切ってタクシーで訪問。
見学を終えるころ路線バスは運休となった。

東寺のガラスは品質が不均衡でものがゆがんで見えます。

テラス出口、新築時には、ここからポーチ屋上に出られたという。

ロッキングチェア、当時の一般市民にとっては珍しいものだっただろう。

ネストテーブル  雷紋、大正から昭和初期製造。

花の形の笠がかわいい。

パイプペンダント(pipe pendant) 筒で吊り下げたランプの意味。 金属の「金」で赤色を出している。

山本直良は、ホテル業以外にも有島家と親交のあった当代の陶芸家宮川香山らを京都から招いて三笠焼を開窯。

また、あけび細工や軽井沢彫りなど地元の工芸品を奨励販売した。

軽井沢の歴史と共に歩んできた軽井沢彫、家具に、手彫りの彫刻を施した華やかで繊細なシルエットが印象的です。

天井の装飾も軽井沢彫かな。

場所が違うのですが、軽井沢駅の壁にも軽井沢彫が、飾られていました。
これは新幹線開業一周年記念の物で、サクラの図案です。

従来からのカウチ(ねいす)を修理復元、上流階級の婦人たちに好んで使われた。

外は激しい降りで路線バスも止まってしまい、とりあえずタクシーを呼びアウトレットへ避難。

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三笠ホテルへのアクセス、行き方歩き方

北佐久郡軽井沢町軽井沢1339-342
0267-42-7072

北陸新幹線・しなの鉄道 軽井沢駅から草軽交通バス「北軽井沢」方面行きで8分、「三笠」下車、徒歩2分