名の「大拙」は居士号。
同郷の西田幾多郎、藤岡作太郎とは石川県立専門学校以来の友人であり、鈴木、西田、藤岡の三人は加賀の三太郎と称された。
また、金沢時代の旧友である安宅産業の安宅弥吉は「お前は学問をやれ、俺は金儲けをしてお前を食わしてやる」と約束し、大拙を経済的に支援したという。
かつては加賀藩の家老だった本多家の武家屋敷が居並んでいた本多の森公園の樹林が借景となって、鈴木大拙館をひときわ素晴らしい眺めにしています。
この鈴木大拙館には、「玄関棟」、「展示棟」、「思索空間棟」という3つの建物があります。
異空間へ繋がるような細長い回廊を抜けていくと現れる展示等では、その都度企画展示が催されている他、大拙の書や写真などが展示されています。
大拙は仏教の核心に、霊性の自覚を見出した。
大拙の生涯の思索の大部分はその《霊性の自覚》に向けられていたといってもよく、これが普遍性や世界性を持つと確信したので、仏教思想を欧米へも紹介した。
さて、展示棟を出ると、そこには水の浅く張ってある水盤が広がっており、その向こうに四角い白い建造物が
水盤は鏡のように空や樹木、建物を写します。
また風によってさざ波をたて、水音がします。
ほとんど静止しているような風景なのに、実は一つとして留まるものがない。
鈴木大拙の弟子、岡村美穂子氏が、生前の大拙とのエピソードにこのようなことがあったと語っています。
あるとき、大拙が机を叩いて、岡村氏に「どこで聞いた?」と問います。
ありきたりに「耳で聞いた」と答えないで「全身で聞いた」と岡村氏は答えます。
しかし大拙は「そんなけちくさいこというんじゃないぞ。
全宇宙が聞いたから、あなたも聞いたんじゃないかね?」と言ったそうです。
その水でできた庭園を眺めていると、眺めるだけでなく、耳をそばだてて、すべての感覚、あたかも自分の存在全てで「感じている」感覚になり、やがては大拙が岡本氏にいった「全宇宙が感じた」から、自分も感じるという感覚がわかるような気がしてくるかもしれません。
白い箱のような建物を外から見ています。
ここは訪れた人が「思索」するために作られた空間なのです。
畳でできた椅子がおいてあるだけの四角い空間がそこにあるだけです。
畳なのでそこで座禅を組むこともできますし、空いていれば靴を脱いで横になってもいいような雰囲気です。
禅や哲学など難しい学問がわからないと尻込みしないで、単に静かな空間でゆっくりしたい、建築を楽しみたい、写真が撮りたい…どんな目的で訪れても大丈夫だという懐の深さがこの施設には感じられます。
何か人生の深いテーマに触れてしまう神秘性も隠されているようでもあります。
外に出ると数百メートルの散策路があります、思索空間が続いているのですね。
散策路の行きつく先は中村記念美術館です。
金沢の旅では是非訪れてみたい場所です、ただ入り口が少しわかりづらいというのが欠点と言えば欠点かな。
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鈴木大拙館へのアクセス、行き方歩き方
金沢市本多町3丁目4番20号
076-221-8011
北鉄バス
【本多町】下車 徒歩4分
城下まち金沢周遊バス
【本多町】下車 徒歩4分