司馬遼太郎「行春を近江の人とおしみける」

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暦の上では春の終わり。
大地の穀物たちに実りをもたらす晩春の雨、過ぎゆく春を惜しむ季節です。

日差しも徐々に強くなり、雪や霜の心配もなくなる季節に降る「百穀春雨」といわれる天からの恵みの雨は農作業の目安となります。

春は秋と並んで過ごしやすく、自然の すがたも美しい。

また物事のはじまりの季節であり、人との出会 いや別れも多い。

春を惜しむことは、人生において束の間のもの である佳き時間や佳き交わりを惜しむ心につながる。

芭蕉には、近江でつくった句が多い。
 そのなかでも、句としてもっとも大きさを感じさせるのは、『猿蓑(さるみの)』にある一句である。

  行春を近江の人とおしみける

この句でいう近江の人は、むろん複数である。

その中に、当然、菅沼曲翠もまじっているはずで、そうあらねばならない。
 
行く春は近江の人と惜しまねば、句のむこうの景観のひろやかさや晩春の駘蕩(たいとう)たる気分があらわれ出て来ない。

湖水がしきりに蒸発して春霞がたち、湖東の野は菜の花などに彩られつつはるかにひろがり、三方の山脈(やまなみ)はすべて遠霞みにけむって視野をさまたげることがない。

芭蕉においては、春と近江の人情があう。

こまやかで物やわらかく、春の気が凝(こ)って人に化(な)ったようでさえある。

この句を味わうには「近江」を他の国名に変えてみればわかる。
句として成りたたなくなるのである。(『街道をゆく 二十四』「近江の人」より)

街道をゆく(24) 近江散歩、奈良散歩 (朝日文庫

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