堺を制す者は、天下を制す 幻の堺幕府と三好一族

信長より20年早く天下の実権を握る戦国武将がいたことをご存じだろうか。
そして幻の堺幕府の実態とは。

現在の顕本寺。

応仁の乱後、幕府の実権を握っていたのは管領・細川氏。

その細川本家に家督相続問題が起こり、大永7年(1527年)に桂川原の戦いで細川高国が破れると、実権を掌握した阿波の国人・三好元長や細川晴元らが義晴の弟・足利義維を擁立して堺に入る。

幕府があったの顕本寺だが当時と今では場所が違う。
その場所とは旧市街のほぼ中心にある開口(あぐち)神社の一角。

堺幕府は5年間の命運だった。

元長に対し、河内を地盤とする武将・木沢長政らが反発。
反元長派は一向一揆勢力に援軍を頼み、顕本寺を包囲した。

死を覚悟した元長は妻を呼び「千熊丸を連れて阿波に落ち延びよ」と伝え、凄絶な最期を遂げたという。

現在の顕本寺を訪ねると、本堂前に海雲という戒名が刻まれた元長の墓標が立ち、幻の堺幕府の記憶を伝えている。

顕本寺があったとされる開口(あぐち)神社。

境内片隅に立つ”三好元長戦死跡”の石碑だけが密かにその歴史を伝える。

その自害の様とは、自身の腹をかっ捌いただけで終わらず、腹から取り出した臓物を天井に投げつけたという壮絶さであった。

この時満10歳の千熊丸が、後の三好長慶。
信長より20年早く天下の実権を握る武将である。

元長の子の長慶、実休、安宅冬康、十河一存らはいずれも名将で、元長の息子達によって三好氏は大きく飛躍、政権を掌握するほどの最盛期を築くに至った。

死後から20年余、長慶によって堺には元長の菩提を弔う南宗寺が建立された

南宗寺を訪ねると、千利休一門や武野紹鴎ら一流文化人の供養塔の奥に三好一族の墓が並ぶ。

長慶は父・元長の菩提を弔うため京都・大徳寺の大林宗套(だいりん そうとう)を初代老師として迎え南宗寺を開基。

大林宗套の教えで、紹鴎や利休が侘び寂びの境地を確立したといわれる。

長慶は堺と仲良くしたいという思いで、お茶と連歌を猛勉強する、堺の人が好きなものを俺も好きになってやろうという、訳だ。

茶道という日本の精神文化の一つの頂点へと繋がる”こころの道場”を、長慶が作った功績には注目だ。

また、南宗寺にはなんと家康の墓があるのだ。

「南宗寺史」には「(家康が)大坂夏の陣で茶臼山の激戦に敗れ駕籠(かご)で逃げる途中、後藤又兵衛の槍(やり)に突かれた。
辛くも堺まで落ち延びたが、駕籠を開けてみると既に事切れており、遺骸を南宗寺の開山堂下に隠し、後に改葬した」との伝説が紹介されている。

家康の墓はこの伝説に沿って1967年(昭和42年)に建てられたものだ。
墓の裏側には、賛同者として松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏の名前も記されている。

幸之助氏は東京・浅草寺の雷門、大阪・四天王寺の極楽門の再建にも寄進。

いずれもこの家康の墓の発起人で、幸之助氏と親交があった三木啓次郎氏の進言による。
パナソニック社史室などに尋ねても幸之助氏がこの墓に言及した記録は見つからなかったが、この墓の建立にかかわったのも三木氏との深い関係があったためと思われる。

三木氏は水戸徳川家の家老を先祖に持ち、この墓を建てた理由について「徳川家と縁故があり、心から(家康)公を礼賛する者の一人として墓碑を改めたいとの多年の宿願を果たすべく……」と碑文に残す。

三木啓次郎氏と松下幸之助氏には面白い伝説があるがまたいずれかの機会に。

長慶が最も頼みにした弟・実休が日蓮宗に宗旨替えし、別邸を寄進したという寺が妙国寺。
本堂から眺める蘇鉄の庭は、かの徳川家康も眺めたとされる堺を代表する名景だ。

時は戦国時代、遠い南の国から運ばれてきたという妙國寺のソテツは当時大変珍しがられ、天下統一を果たした織田信長も羨望の的に。

ついにその権力をもって安土城へ移植させてしまいました。

ところが、そのソテツは毎夜毎夜「堺へ帰ろう」とすすり泣くのです。
激怒した信長が部下に命じてソテツを切らせたところ、切り口より鮮血が流れ、大蛇のごとく悶絶。

さすがの信長も気味悪がり、ソテツを妙國寺に返し届けた。

痛めつけられたソテツは今にも枯れそうになり、日珖上人が読経したところ回復。
ここから「蘇鉄」という名がついたと言われています。

妙國寺はまた、哀しい兵士の物語でも語り継がれています。

慶応4年(1868)堺に上陸したフランス兵と警備にあたっていた土佐藩士との間で争いがおこり、フランス人が多数死傷。

この事件は国際問題となり、責任を追及された土佐藩兵士11名が境内で切腹。
後に森鴎外が小説で記した有名な堺事。

境内には土佐藩士割腹跡の碑が立ち、兵士をしのんで供養塔が建立されています。

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