当尾 石仏の里散策

加茂町当尾(とおの)地区は古来、南都仏教の影響を色濃く受け、世俗化した奈良仏教を厭う僧侶が穏遁の地として草庵を結び、念仏に専心したと伝えられています。

やがて草庵が寺院へと姿を変え、塔頭が並び「塔の尾根」ができ、いつしか「当尾」と呼ばれるようになったといわれます。

岩船寺「本堂」前の一寸した広場の東側やや奥まったところに石室があり、その花崗岩の奥壁に、薄肉彫りの「石室不動明王立像」がある。

岩船寺の塔頭湯屋坊の住僧、盛現は眼病を患い悩まされていたが、不動明王に七日間の断食修行を行ったところ、満願日に眼病は治癒と伝えられている。
この恩に報いるため自らこの不動明王を彫ったといわれている。

この不動明王立像は経年により風化をうけて不明瞭になってはいるが、不動明王らしいことは理解できる。
「石室不動明王立像」は重要文化財に指定されている。

一願不動(岩船不動明王立像)【弘安10(1287)】

わらい仏(岩船阿弥陀三尊磨崖仏)【永仁7(1299)】★京都府指定有形文化財

眠り仏(埋もれ地蔵)【南北朝】

わらい仏の向かって左脇に、半身を土のお布団にくるまれて心地よくすやすやと眠るお地蔵さまがいらっしゃいます。

眠りながらも右手には錫杖を持っておられます。

カラスの壷二尊(阿弥陀・地蔵磨崖仏)【康永2(1343)】

一つの岩に阿弥陀如来坐像と、面を変えて地蔵菩薩立像が彫られています。

岩船寺から浄瑠璃寺へ向かう途中に東小随願寺跡があります。

浄瑠璃寺を西小田原寺と呼び、こちらは東小田原寺とも言われた。

現在は、白山・春日神社がありますが、鎌倉後期に焼失以前は、浄瑠璃寺に匹敵する大寺院であったと思われます。

通りかかるたびに風情のある佇まいに心惹かれるのですが境内は進入禁止になっている。

あたご燈籠【江戸】

三叉路に建つ形式にとらわれない変わり燈籠で、愛宕神は火の神様(火伏せ)を司っています。

当尾ではお正月にここからおけら火を採り雑煮を炊く風習があったそうです。
同型の燈籠が、穴薬師の前と岩船の集落にもあります。

沿道にある廃墟、いつも気になる存在です。

藪の中三尊磨崖仏【弘長2(1262)】

藪の中の岩に舟形の光背を彫りくぼめ、中央に地蔵と十一面観音、向かって左に阿弥陀を配する非常に珍しい配置の石仏です。

作者は橘派の橘安縄、1262年彫刻とあります。

長尾阿弥陀磨崖仏 【徳治2(1307)】  

美しい連弁の台座に座り、両手を腹部の前で∞形にした定印の阿弥陀です。
1307年(徳治2年)からここで人々の往来見守ってきました。

像の頭上に斜めに割れ目が走っていますが、後方の山から巨岩が続き、前面もコンクリートで固めているので、これ以上割れる心配はないそうです。

たかの坊地蔵 (西小地蔵石仏)【鎌倉中期】

小さな石仏群の中の、舟形の光背の矢田型の地蔵尊。

風化してよく見えませんが、頭の周りには蓮弁の光背が刻まれています。
錫杖を持たない姿のお地蔵さまは、一般的に古いタイプのものとされています。

他の石仏群は室町時代のものです。

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当尾 石仏の里散策は下り坂となる岩船寺から浄瑠璃寺に向かうのがよいでしょう。

岩船寺へのアクセス、行き方歩き方

住所:京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43番地
電話:0774-76-3390

JR関西本線(大和路線)「加茂駅」から徒歩約1時間30分。
またはコミュニティーバス当尾線「岩船寺」下車すぐ

JR・近鉄「奈良駅」からは「急行バス浄瑠璃寺前」下車徒歩約40分。
またはコミュニティーバス当尾線乗り換え「岩船寺」下車すぐ