地下鉄東西線蹴上駅から地上に出ると、まず目に入ってくるのがインクライン跡の緩やかに傾斜した土手。
この地が蹴上と呼ばれるようになったのには、2つの説があります。
その一つは、源義経が牛若丸と呼ばれていた頃、鞍馬寺で修行をしていましたが、その後奥州平泉へ向かいます。
一行がこの地に差し掛かったとき、そのときたまたま通りかかった平家の関原輿市重治の馬が、水溜りの水を牛若丸に蹴りかけたことから両者の争いとなり、牛若丸が興市をはじめ家来等9人を多く斬り捨てたという伝説です。
もう一つは、蹴上の南に九条山がありますが、ここにはかつて処刑場があり、罪人がこの山に登るのに死ぬのがイヤで、なかなか登ろうとしないのを役人が後ろから蹴り上げて登らせたという説があります。
どちらにしても余り縁起の良い話ではなく、検証することも容易ではありません。
その土手に沿って100メートルほど下ると要塞のような赤レンガの建造物にどっきり!
これが“ねじりまんぼ”と呼ばれている歩行者専用通路の出入口。
まんぼはトンネルを意味する方言で、アーチ式天井は巻き貝のようにレンガが螺旋状に
組まれているので、捻れて見えることから“ねじりまんぼ”。
愉快なネーミングですが、強度を増すためのトンネル工法だそうです。
東西入口には北垣国道第3代京都府知事の揮毫で「雄観奇想」「陽気発処」と記されています。
どちらも漢詩の一節で琵琶湖疏水の推進者の気宇壮大な心意気が!
蹴上インクラインは、南禅寺の近くにあり、全長582mの世界最長の傾斜鉄道跡で、高低差約36メートルの琵琶湖疏水の急斜面で、船を運航するために敷設された傾斜鉄道の跡地。
インクラインの上では皆が思い思いに桜を楽しんでいる。
花より団子ともっぱら食い気。
かと思えば時折り桜を楽しむ。
皆、レール上をし下へ下へとすすむ。
行きつく先は池、上下の船溜まりを行き来していたのが台車に乗せられた舟。
もう一度引き返す。
蹴上発電所への導水管。
現在でも4,500kWの発電が行われ、京都市の貴重な財源になっている
無鄰菴や平安神宮神苑、瓢亭、菊水、何有荘、円山公園をはじめとする東山の庭園に、また京都御所や東本願寺の防火用水としても利用されている。
一部の区間は国の史跡に指定されている。
また、疏水百選の一つである。
「山之内浄水場導水管」、ダクタイル鋳鉄管というのが使われています。
土管向こうは疎水の船溜まり。
水運は、琵琶湖と京都、さらに京都と伏見・宇治川を結んだ。
落差の大きい蹴上と伏見にはケーブルカーと同じ原理のインクラインが設置され、船は線路上の台車に載せて移動された。
水運の消滅に伴いインクラインはいずれも廃止されたが、蹴上インクラインは一部の設備が静態保存されている。
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