神戸市立森林植物園は三宮から40分ほどの六甲の裏側にある、甲子園球場約36個分の広大な森に咲くあじさいが、初夏の訪れを告げるように約350品種5万株の色彩やかな美しい花々を咲かせます。
これだけのあじさいのスケールは西日本で一番とも言われ、あじさいが咲き誇る季節になりますと、県内外から毎年多くの見物客が訪れるあじさい名所です。
公園正面から続く「あじさい坂」の両側には所狭しとヒメアジサイが美しい花を咲かせます。
六甲山地はあじさいの生育に適したいくつかの条件を備えているといわれています。
六甲山地は海に近く、海風が吹いて水分が入り込みやすい環境です。
三宮などの市街地では晴れていても、山中では雨が降っていたり霧やもやがかかることがよくあります。
「あじさい」とは、アジサイ科に属する植物です。
以前は花の構造などからユキノシタ科アジサイ属に分類されていましたが、DNA構造の解析技術が進んで進化の過程が明らかになるにつれて、アジサイ科として独立させるようになりました。
シーボルトは数ある植物の中でも日本の植物であるアジサイを愛したようで、彼の著書『日本植物誌(フローラ・ヤポニカ)』には、彼が日本で知り合った「オタキさん」という女性の名前からつけられたといわれる「Hydrangea otaksa(ハイドランジア オタクサ)」という学名でアジサイが紹介されています。
ただ、アジサイの学名はシーボルトが命名する以前に「Hydrangea macrophylla (ハイドランジア マクロフィラ)」という名前で発表されていたのでオタクサの名前は認められませんでした。
ちなみに、ハイドランジアは「水の器・水瓶(果実の形が水瓶に似ていることから)」マクロフィラは「大きな葉っぱ」という意味です。
大きな葉をして、水を好むアジサイにぴったりの名前ですね。
ところで開花時期は、5月終わりから6月初旬に咲き始め、6月中旬から下旬にかけまして見ごろを迎えます。
シチダンカの見ごろは6月中旬から下旬、園内の西洋あじさい園に咲く濃いブルースカイの色の彩やかさが美しいクロヒメアジサイは6月下旬から7月上旬が見ごろとなります。
ヒメアジサイ
昭和のはじめ、牧野富太郎博士が植物の採集旅行の際、このあじさいを信越地方で見つけ、その優美な姿から「ヒメアジサイ」と名付けられました。
ホンアジサイとエゾアジサイの交雑種であると考えられています。
手まり形の澄んだ青い花をつけますが、その花房はごつごつした形状になることが多いようです。
形が変わっていく過程でハート形になる時がある。
シチダンカ(七段花)
六甲山の特産種。シーボルトが「日本植物誌」で紹介して以来、日本人のだれもがその実物を見た人がなく、”幻のアジサイ”とよばれて長い間さがしつづけられていました。
1959年(昭和34年)に六甲山系内で「再」発見されました。
装飾花が八重咲きとなり、各がく片が剣状に尖りきれいに重なって星状に見えるのが特徴です。
スミダノハナビ(アジサイ) [墨田の花火]
特徴は、周りの装飾花が八重になっていることである。
装飾花は白から次第に青色がほのかに入る。
花火のように星形の花が飛び出すような形をしている。
キヨスミサワアジサイ(清澄山)
千葉県の清澄山が原産。ヤマアジサイの変種。
よく枝が伸び、直上する傾向がある。
ガク咲きで装飾花の白いガク片の縁に紅色の斑が入り非常に美しい。
また性質が健丈なため、園芸品種の母種となることが多い。
ベニガク
コガクウツギに同じであるが、花の色が初め白色、次に淡紅、最後に紅色となり七変化と云い、額花中随一のものである。
剣の舞
徳島県剣山系産の八重咲きのヤマアジサイ。
別名、剣山八重。花色は薄青色でガク片は細いへら弁になります。
また、茎や葉柄が赤紫色をしています。
みやまやえむらさき (美山八重紫)
京都府北部の美山町「堀越峠」に自生しています。
「ヤマアジサイ」の一品種で、八重咲きなのが特徴です。
5月下旬から6月下旬に、鮮やかな青紫色の花を咲かせます。
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