豊臣秀吉寄進と伝わる日吉三橋

白洲正子 近江の旅|古代から継がれる石の文化と木地師の伝説

正子の旅は近江各所に及んでいるが、その旅は「石」と「木」と対話し、日本の美を再確認することではなかっただろうか。
そうして、石の文化を訪ねた先が、比叡山の麓にある日吉大社だった。

比叡山は最澄の開山で知られるが、日吉大社の縁起はそれよりもずっと古い。
大社に向かう長い坂道の参道を上っていくと、美しい姿の山が正面に見える。八王子山、または比叡山に対して小比叡[おびえ]とも呼ばれる。日吉大社の日吉は、「ひえ」と読むのが正しいようだ。

山上には古代より神が降臨するといわれ、信仰を集める巨岩「磐座[いわくら]」が鎮座する。
『古事記』には、大山咋神[おおやまくいのかみ]と鴨玉依姫[かもたまよりびめ]をまつると記され、日吉大社の境内全体が古代信仰の霊地とされ、周囲には古墳も多い。

最澄はこの神体山の麓で生まれ、小さい頃より古代信仰に触れたことが、天台密教を開く助けになったといわれている。
日吉大社境内の岩や巨樹にはしめ縄が飾られ、石と木それ自体が今も信仰の対象である。

その境内に、見事な石橋が架かっている。奉納したのは豊臣秀吉だ。構築はおそらく穴太衆[あのうしゅう]の手によるものだろう。
麓にある穴太地区はその石工集団の故郷で、戦国時代の築城に大きな役割を果たした。

正子は、穴太衆の優れた石造技術は、巨石を加工し墳墓を築いた古代から受け継がれたものではないかと推理する。

白洲 正子のエッセイ 「かくれ里」

白洲 正子のエッセイ 『近江山河抄』

三本の石橋の中で一番上流に架かる橋は『大宮橋』

大宮橋は、西本宮へ真っ直ぐ向かう参道に架かる橋で、花崗岩製の石造反橋ですが、木造橋の形式をそのまま用いた珍しい橋。

橋の両側に格座間を彫り抜いた高欄をつけるなど、日吉三橋の中で最も手が込んでいる豪壮雄大な石橋となっている。

重要文化財 建造物
日吉大社日吉三橋 大宮橋 一基
(大津市坂本五丁目)

大宮橋は、西本宮(大宮)へ向かう参道の大宮川にかかる花崗岩[かこうがん]製の石造反橋[そりはし]ですが、木造橋の形式をそのまま用いています。

幅五・〇メートル、長一三・九メートルで、川の中に十二本の円柱の橋脚をたて、貫[ぬき]でつなぎ、その上に三列の桁[けた]をおき、桁上に継ぎ材をならべ橋板を渡しています。

両側に格座間[こうざま]を彫り抜いた高欄[こうらん]をつけるなど、日吉三橋のうちでも最も手が込んでおり、豪壮雄大な構造の、代表的な石造桁橋。

天正年間(1573~1592)豊臣秀吉が寄進したと伝えられていますが、木橋が現在の石橋に掛け替えられたのは、寛文九年(1669)のこと。

大正六年(1917)八月、日吉三橋の一つとして国の指定文化財となりました。 (現地説明板)

下流から見上げると高欄下部は苔むして風格がある。

日吉三橋の真ん中に架かる橋は『走井橋』。

走井橋は日吉三橋の中で最も簡素な構造の橋ですが、橋の傍らにある走井という清めの泉があり、そこでお祓いをするための重要な橋で、比叡山回峯行などでは必ずこの橋を渡るといいます。

重要文化財 建造物 日吉大社日吉三橋 走井橋 一基
(大津市坂本五丁目)

走井橋は、大宮橋のすぐ下流にかかるお祓いをするための石造反橋[そりばし]。

日吉三橋の中で最も簡素な構造で、幅四・六メートル、長十三・八メートルを測ります。
川の中に方柱の橋脚をたてますが、その数も六本と少なく、また桁も省かれ、橋脚の頭に継ぎ材をおいて、橋板をかけています。

橋板に反りをつけることで、軽快な感じをよく出しています。
走井橋の名は、橋の傍らに走井という清めの泉があることに由来します。(現地説明板)

上流の大宮橋と比べますと橋脚も少なく、また桁も省かれた簡素な構造の石橋ですが、板橋に反りをつけることで軽快な感じになっています。

走井橋を渡ったところの大杉の根元に鎮座するのは走井祓殿社。

御祭神は瀬織津比咩・速開都比咩・気吹戸主・速佐須良比咩

御祭神の四柱は大祓祝詞に登場する神様で、天下四方の罪穢れを水によって祓い清めて消滅してくれます。

日吉三橋で最も下流に架かる橋が『二宮橋』。

二宮橋は東本宮(二宮)へと続く参道に掛けられていることから「二宮」という名前がつけられています。

二宮橋も走井橋と同じような簡素な構造の橋となっていますが、こちらの橋は桁上に継ぎ材をならべ橋板を渡し、両側に高欄をつけ、大きさも大宮橋とほぼ同じ幅となっています。

二宮橋は天正年間に豊臣秀吉により寄進されたと伝えられている木橋を、後に石橋に架け替えられたもので石橋としては日本では最大、最古とされています。

重要文化財 建造物 日吉大社日吉三橋 二宮橋 一基
(大津市坂本五丁目)

二宮橋は東本宮(二宮)へ向かう参道の、大宮側に架かる花崗岩製の反橋ですが、木像橋の形式によって作られたものです。

川の中に12本の円柱の橋脚を立て、その上に三列の桁を置き、桁上に継ぎ材を並べ橋板を渡し、両側に高覧をつけています。

上流に架かる大宮橋とほぼ同規模で、幅5.0メートル、長さ13.9メートルを測りますが、構造はより簡単で、橋脚の貫もなく、高欄も板石と擬宝珠付親柱で構成されています。(現地説明板)

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