雪の石山寺に二人の美女を訪ねる

先日、石山寺の記事を掲載したが、実は今年4月に誤ってデータを消してしまった時に失われた情報の中に雪の石山寺の記事がありました。
雪の石山寺というのは珍しいことなので再掲することとした。

紫式部が七日間参籠し「源氏物語」を起筆したという石山寺。
実はもう一人ゆかりの深い女性がいます。
荒廃していた石山寺は淀殿の寄進によって見事に再興され、現在の石山寺の姿となったのです。
石山寺は兵火に遭わなかったため、建造物、仏像、経典、文書などの貴重な文化財を多数伝存している。

石山寺には源頼朝の寄進によるものがいくつかあるが、この門も1190年に頼朝により寄進されたもので、由緒のある古刹に相応しい造り。

運慶、快慶の作では?と訝る向きもあるが、石山観光協会発行のパンフレットには運慶、快慶の作と記されている。

芭蕉句碑
「石山の石にたばしる霰(あられ)かな」
俳聖松尾芭蕉はしばしば石山寺を訪れ多くの句を残している。

店頭にある三鈷(さんこ)の松は、願い事が叶うといわれる松で、三鈷と呼ばれる仏教の法具に由来する。

この松は葉先が3本に分かれていて、この枝を何度も三つ編みにすれば「実を結ぶ」というもの。松の枝は無料で進呈される。

長い参道もすっかり雪化粧。

拾翠園は風情のある庭が広がり、腰掛けて休憩することができます。
この奥にも長いすがあって景色を見ながら休憩できます。

大黒堂の庭園。 
伝統的な日本庭園に大黒天の像がその風景を望んでいる構図になっています。

若き日の藤村が漂白の旅の途中2ヶ月余滞在した「茶丈密蔵院」
この建物は島崎藤村がこの一間を借りて自炊生活を始めた場所だそうです。
島崎藤村の『文学界』第七号「茶丈記」には以下のようにあります。

そもそも石山寺といふは名にしおふものさびたる古刹にして、かの俳士芭蕉庵が元禄のむかし幻住の思ひに柴門を閉して今はその名のみをとどめたる国分山を うしろになし、巌石峨々として石山といへる名も似つかはしきに、ちとせのむかし式部が桐壺の筆のはじめ大雅の心を名月に浮べたる源氏の間には僅にそのかたみを示して風流の愁ひをのこす。

門前ちかくに破れたる茶丈の風雨のもれたるをつくろひ、ほこりをたたき塵を落して湖上に面したる一室をしきり、ここにしばらく藤の花のこぼれたるを愛す。

懸造(かけづくり)の本堂(国宝)は、雅の台(みやびのだい)から、見られます。
「補陀洛山」碑のところが入り口です。

石段を上がりきった直ぐ右側に杉の古木があり、これは御神木になっている。
この古木は石山寺が創建されたときからあったというから、これが真実ならば樹齢は1200年以上になっているはず。

現在の本堂は永長元年(1096年)の再建。
合の間と礼堂は淀殿の寄進で慶長7年(1602)に建立されたものである。

伝承では、寛弘元年(1004年)、紫式部が当寺に参篭した際、八月十五夜の名月の晩に、「須磨」「明石」の巻の発想を得たとされる。
「石山寺縁起絵巻」には「女院から物語の創作を下命され成就を祈願するため石山寺に七日間参籠した。

心澄みわたり、にわかに物語の構想がまとまり、書き始めた」と記されている。
合の間の東端は「紫式部源氏の間」と称され、執筆中の紫式部の像が安置されている。

第一梅園「薫の苑」、いまだツボミ固し。

この桜の木は石山寺を開山した良辨僧正(689~773)の持っていた杖が根付いて育ったと伝えられている奈良の八重桜であるという。
しかし木も若く単純な伝説であろう。

硅灰石
硅灰石は、石灰岩が地中から突出した花崗岩と接触し、その熱作用のために変質したものですが、石山寺のように雄大な 硅灰石となっているのは大変珍しく、国の天然記念物に指定されています。
「石山」という名称はこの硅灰石に由来しています。

観音さまがまつられている石山寺の境内、本堂から多宝塔へと向かう途中に「腰掛石」と呼ばれる石があります。
昔からこの石に座ると安産すると言い伝えられ、信仰を集めています。

左側紫式部供養塔。
右側芭蕉句碑
「曙はまだむらさきにほととぎす」

多宝塔は鎌倉時代初期、源頼朝の寄進により建てられたものとされ、この頃には現在見るような寺観が整ったと思われる。
現在工事中。

若宮
案内板によると「祭神に天照大神拝し大友皇子(弘文天皇)を「崇る」(あがめる)。
壬申の乱の折、この地に葬られ古来より寺僧により手厚く密かに供養されてきた。
三十八所権現社が親神に当たります。」とあります。

多宝塔の西に所在する二基の石造宝篋印塔のうち、西側の一基が源頼朝の供養塔と伝えられている。
石山寺は源頼朝の厚い庇護を受け、多宝塔・鐘楼などは頼朝の寄進と伝えられている。

月見亭は江戸時代後期保元年間、後白河天皇行幸に際し建設されたといわれ、現在まで、数回修理されているようだ。

この辺りからの瀬田川の光景もなかなかだ。
隣に茶席『芭蕉亭』があるが、非公開。

袿(うちき)姿の紫式部。
物語の構想を練っているのでしょうか。

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石山寺へのアクセス、行き方歩き方

滋賀県大津市石山寺1-1-1

宗教法人 石山寺
TEL:077-537-0013
FAX:077-533-0133

京阪電鉄/石山坂本線「石山寺駅」下車 徒歩 10 分
JR琵琶湖線「石山駅」下車 バス 10 分 石山寺山門前