紫式部・清少納言「石山詣」の寺に紅葉を訪ねる

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『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』などの文学作品にも登場し、『源氏物語』の作者紫式部は石山寺参篭の折に物語の着想を得たとする伝承がある。
「近江八景」の1つ「石山秋月」でも知られる。

早朝、瀬田川では大学の漕艇部の練習風景が見られる。

約八百年前の中興の祖 朗澄律師ゆかりの庭園。
朗澄律師は自 分の死後鬼の姿になって、石山寺の一切経と聖教を守護し、 人々の降魔招福を誓い入寂されました。
大きな石に刻まれて いるのは「石山寺縁起絵巻」に描かれた朗澄律師のお姿です。

長い参道の両脇には多くの塔頭が並ぶ。

山門を入ったすぐのところに公風園がある。
庭園は非常にきれいだが中に入れず残念。

きれいな庭園、少しだけ覗いて我慢。

拾翠園の門構え。

内部は広く、散策が可能。

大黒天は万寿元年(950年前)に、ご本尊は3人の僧の夢のお告げにて湖水より出現した。
室町時代(約650年前)秘仏ご本尊の前にお前立ちの仏様が建立された。

長い参道の奥に入り口がある。

東大寺開山・別当の良弁が金峰山の蔵王権現のお告げで東大寺大仏用の金を祈願する地を求めてここへやってきた時、釣りをしている老人の姿の地主神・比良明神にここがその場所だと告げられたという。

明治26年二月 東京で女学校の先生をしていた20才の島崎藤村は、教え子との恋愛に悩み、関西漂泊の旅に出た。
その折、石山寺に立ち寄り自分の愛読する「ハムレット」を寺に奉納した。

『石山寺へハムレットを納むるの辞』

名にしをふ瀬多の唐橋に立て湖上はるかに浮ぶ詩神を拝み、むかし紫式部が源氏の風情をうつせし石山寺に詣づ。予や旅に寝て風雅に狂する身のここに一の至友あり、今この友を笈中より取出し「ハムレット」一冊と記して個の此寺に納む、紫女が霊のとどまりたらんと覚ゆるかなたを見やりて、ひたすら今日の風雅を祈るに、雪風飄々孤身をうづめて寒山の一鴉この狂客のはらわたを断つ。

湖にうかぶ詩神よ、心あらば落ち行く鐘のこなたに聴けや、千年の冬の夜毎に、石山の寺よりひびく読経の声。
      島崎藤村『文学界』第二号

さらに京都、神戸、高知へと旅を続けた藤村は、五月に石山へ再びやってきて、今度は石山寺の元茶所であった密蔵院の一間を借りて自炊生活を始めました。

島崎藤村『文学界』第七号「茶丈記」より

そもそも石山寺といふは名にしおふものさびたる古刹にして、かの俳士芭蕉庵が元禄のむかし幻住の思ひに柴門を閉して今はその名のみをとどめたる国分山をうしろになし、巌石峨々として石山といへる名も似つかはしきに、ちとせのむかし式部が桐壺の筆のはじめ大雅の心を名月に浮べたる源氏の間には僅にそのかたみを示して風流の愁ひをのこす。

門前ちかくに破れたる茶丈の風雨のもれたるをつくろひ、ほこりをたたき塵を落して湖上に面したる一室をしきり、ここにしばらく藤の花のこぼれたるを愛す。

清らかな湧き水がわく「閼伽井屋(あかいや)」

朗澄律師が天狗杉の上に現れたとも伝わる。

霧に霞む山内、登る朝日を受けて透かしモミジが美しい。

閼伽井屋を過ぎ、本堂への石段へ向かう。

巨大な岩の上に建つ小さなお堂。
他ではなかなか見られない光景でしょう。

本堂下の陽に透かした紅葉。

本堂は国の天然記念物の珪灰石(「石山寺硅灰石」)という巨大な岩盤の上に建ち、これが寺名の由来ともなっている(石山寺珪灰石は日本の地質百選に選定)。

『石山寺縁起絵巻』によれば、聖武天皇の発願により、天平19年(747年)、良弁(東大寺開山・別当)が聖徳太子の念持仏であった如意輪観音をこの地に祀ったのがはじまりとされている。

本堂を過ぎた三十八社付近の紅葉。

三十八社付近から本堂を見る、右側が紫式部の間。

合の間と礼堂は淀殿の寄進で慶長7年(1602)に建立されたものである。
合の間の東端は「紫式部源氏の間」と称され、執筆中の紫式部の像が安置されている。

本堂前の紅葉、日差しに透かした紅葉が美しい。

本堂の上部より。

三十八社付近から蓮如堂を見る。

三十八社付近は紅葉が特に美しい。

三十八社付近から観音堂を望む。

紫式部も紅葉に埋もれて佇む。

伝承では、寛弘元年(1004年)、紫式部が当寺に参篭した際、八月十五夜の名月の晩に、「須磨」「明石」の巻の発想を得たとされ、石山寺本堂には「紫式部の間」が造られている。

『和泉式部日記』(十五段)では、「つれづれもなぐさめむとて、石山に詣でて」とあり、 和泉式部が敦道親王との関係が上手くいかず、むなしい気持を慰めるために寺に籠った様子が描かれている。

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石山寺へのアクセス、行き方歩き方

滋賀県大津市石山寺1-1-1

宗教法人 石山寺
TEL:077-537-0013
FAX:077-533-0133

京阪電鉄/石山坂本線「石山寺駅」下車 徒歩 10 分
JR琵琶湖線「石山駅」下車 バス 10 分 石山寺山門前

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